研究テーマ

当研究室では次世代の無線通信を実現するため、統計的信号処理技術を駆使した変復調技術及びネットワーク技術の研究を行っております。また、近年では機械学習を用いた研究も行っています。

機械学習を用いた無線ネットワーク制御

小セル基地局(BS)の稠密な配置は、隣接するセルのカバーエリアが重なり合うため、セル間干渉を増大させシステム容量を低下させる.
MIMO小セルネットワークにおけるシステム容量を改善するため、新しいセル間干渉制御(ICIC)方式が必要である.送信側においてはビームフォーミング(BF)及び送信電力制御の両方を行うによって干渉を押さえ、システム容量を向上する.ただし、送信側は予め定めたプリコーディング行列と送信電力値の集合からシステム容量を最大化する組み合わせを探索するが、総当たり探索は演算量が膨大になるという問題がある.この演算量を削減するため、初期の学習過程終了後は大幅に演算量を削減できるニューラルネットワーク(NN)を適用する.

OFDMシステムにおけるポーラ符号

無線通信分野において、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)方式が広く採用されている.
しかし、OFDMでは高いPAPR(Peak-to-Average Power Ratio)が問題になっており、この問題に対処するため、定振幅OFDM変調方式はまずOFDM信号を二つの定振幅信号に分解し、異なるタイミングで送信する.受信側では、これらの信号を受信し合成することにより、元々のOFDM信号を再生できる.
なお、この再生信号はOFDM信号が無線チャネルを通り受信されたものと見なすことができる.

物理層暗号方式

MISO(Multiple-Input Single-Output)無線通信の物理層セキュリティ方式として、AN(Artificial Noise)やAFF(Artificial Fast Fading)が知られているが、CSI(Channel State Information)既知の条件下で、ANは希望信号とともに人工雑音を送信し、AFFは電力を考慮せず送信信号にランダムな重みを乗算することで盗聴者の伝送品質を劣化させる技術である.
しかしながら、これらの手法は送信電力が大幅に増加するという問題があった.この問題を解決するため、ANを送信せず各送信信号の位相をランダムに変動させ、正規受信者において正しく希望信号を受信でき、かつ送信電力が最小となるように各送信信号の振幅を制御するRP(Random Phase)を提案する.さらにRP方式をMISOからMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)通信へ拡張する.

その他

  • 水中音響MIMO-OFDM通信システム
  • D2D(device-to-device)通信
  • 位相回転NOMA(non-orthogonal multiple access)、低振幅OFDM-NOMA
  • Hybrid beamforming MU-MIMOシステムのパラメータ推定とビーム制御
  • Real zeroを用いるTDC(time-to-digital converter)およびOFDMシステムにおける応用
  • Massive MIMOシステムにおけるパイロット汚染問題の改善
 また、企業との共同研究実績多数あり(NTTドコモ、楽天モバイル、JAXAなど)